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日記というか週記というか気まぐれ記というか。
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 ああ、あれは一体何だったのだろう。
 わからないまま、私の世界は終わりを迎える。

 雨が降る冷たい戦場に、それは居た。黒に輝く剣をその手に携えて。銀色の瞳が、こちらを見ていた。雨が降る戦場よりも冷たい視線を持って。
 それを討伐するためだけに用意された戦場。正確な数がわからない程の軍馬、兵士、人間、武器。それは地面を一つ蹴り、私達の中に降り立った。雨に塗れた長い髪が空に舞う姿。長い前髪の隙間から覗いた、人のそれとは思えない程の美しさが閉じ込められた瞳。そして、

 後は一瞬だった。私が率いた者達が、一切の抵抗も許されず斬り捨てられてゆく。雨の中、鮮やかに舞い散る赤、紅、緋。鋭い痛み、鈍い痛み、端から流れ出ていく命の感覚。ともすれば断罪のような斬撃が、この世界を惨劇で満たしてゆく。それがこの世界に降り立ったその日から、青い空も、蒼い草原も、碧い海原も、全てが姿を消した。人という人、生き物という生き物、命という命、全てが。

 ああ、あれは一体何だったのだろう。
 わからないまま、私の世界は終わりを迎える。

 私はかつて、光の白騎士と呼ばれていた。白に輝く槍で魔を払い、この国の平和を取り返した。だけどそんなものも何もかも、今となってはもう無意味なもの。動かなくなる足、冷たくなる指先。地面に突き立てた私の相棒に口づけて、そして……。

 力が欲しい。
 世界を守れるだけの力が。
 そんなものがあれば、もう何もいらない。
 この命でさえも。

 命をかければ、どんな願いでも叶う、だなんて。
 そんなふうに、思っているわけではないけれど。

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